ヴァンジョーヌとは・・・
サヴァニャン種
ヴァンジョーヌとは・・・

 偶然によって生まれたといわれるヴァンジョーヌには面白い言い伝えがあります。
そもそもの誕生は、ある葡萄栽培者が、カーブの中で忘れられていた樽の中に黄金に輝くワインを偶然見つけたのが始まりです。そしてこの美しい色のワインは『ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)』と呼ばれるようになったのです。

 ヴァンジョーヌは、スイスに近いフランスのジュラで生産されます。サヴァニャン種(ナチューレ種)というジュラ地方特有の品種のみを使用します。このサヴァニャンの皮は厚く、中の実は歯ごたえがあり非常にしっかりとした品種です。葉はきれいな濃い緑で、産毛で覆われた表面はほんのりとピンクが差し表面に毛皮をまとっているようです。葡萄学者の認識では、サヴァニャン種はイタリア領チロルのトラミン村原産とされるアルザスのトラミネール・ブラン種と近縁にあたるとしています。サヴァニャンの名前の由来は『ソヴァージュ(野生)』からきており、ジュラ地方レヴェルモンの丘に野生していたものと一説には言われています。また、中世にこの地方にいたシャロン伯が十字軍遠征の時にハンガリーからこのぶどうを持ち帰ったという逸話があり、トカイのフルミントが原種であるともいわれています。

 葡萄は収穫を非常に遅く行い、ブドウの糖度を充分に上げてから大樽で発酵させます。発酵後、春になると澱引きが行われ、ワインは口の開いた225Lの樫樽に移され、ワインを目減りの補充を行わず、最低6年間樽熟させます。樽熟中、表面にフルール・ドゥ・ヴァンと呼ばれる産膜酵母による被膜が生じます。その膜がワインを酸素から保護し急激な酸化を防ぎます。また、産膜酵母の働きによりアルコールの一部を酸化させて、エチル・アルデヒドに変化させます。その変化がシェリー酒のようなクルミやアーモンドなどの独特な香りや味にも似た風味を造り出すのです。


 
LE VOILE DES VINS JAUNES(ヴァン・ジョーヌのベール)

 このような熟成が行われたワインはワインの構成が特殊なものとなります。アルコール度数は13.1-13,7%/vol 、ペーハー(ph) は3-3.2 になります。この膜を構成する酵母はサッカロミセス・バイヤヌス種(Saccharomyces bayanus) です。
 熟成の期間中、ベール(産膜酵母)を観察することはワインの質を守る上でとても大切なことです。ベールが白く、クリームのようで小さな塊のようなものが出来ている場合は酵母の活動が好ましいと判断できます。酵母の繁殖があまり良くないときは、ベールがワインを酸素から守ることが出来ず、マデリゼしてしまいます。また、セトロンという名の香りの分子を観察することも大切な要素になります。(この分子は熟成した日本酒、砂糖の中にも含まれます。)
ヴァン・ジョーヌの特徴的な香りであるクルミのような香りは、エタナール(アセトアルデヒド)が与えると言われてきましたが、最近このセトロンもクルミのような香りを与えることが確認されました。

ヴァンジョーヌは、クラヴランと呼ばれる620ml入りの瓶に入れられています。これは、ワイン1リットル分が6年間の熟成期間中に減量して最終的に残った量なのです。フランスではこの分を『天使の分け前』と呼んでいます。

ヴァンジョーヌはその歴史の中で様々な逸話を持っています。ヴァンジョーヌは、50〜200年にも及ぶ長い保存に耐えうるワインといわれます。
従って、ヴァンジョーヌは、スティルワインより抜栓後の劣化も遅く、グラスでの販売に非常に適しています。
 

ヴァンジョーヌと料理の相性
ヴァンジョーヌは、うなぎや天ぷら等、日本料理ともよく合います。
また、中華料理との相性も絶品です。多くの料理に相性が良いですが、一般的に次のような料理に合うと言われています。

マリアージュについての詳細は、マリアージュ部をご覧下さい。

(写真:シャトー・シャロン・ジャン・マクル'91)

ヴァンジョーヌはジュラ地方のアルボワ、シャトー・シャロン、コート・ド・ジュラという3つのアペラシオンのみで生産される貴重なワインです。
 
アルボワの地はアルコール発酵が酵母菌によって起こる事を初めて科学的に立証したルイ・パスツールが研究を行ったことで知られています。
ルイ・パスツールは1822年ドールで生まれ、その後1860年から5年間ジュラのアルボワでワインの醸造と変敗について研究しました。

参考資料提供:(株)プロトン